Making Report

Fate/stay night | アーチャー
2009年5月6日完成(Gallery に完成品展示) 

Part 6 / 型の製作

まさに拷問のような表面処理を終えて、第三段階の複製用のシリコン型作りに入ります。
全く未知の世界なので、色々な複製講座をネットで調べたりしながら手探りで進めています。
一番難しいのは、型はどうしてもタイヤキの様に両面に分割しなければ取り出せない訳で、どの面をその分割面にするかを決めるのが難しいです。
 

 

 

パーツをあーでもないこーでもないと引っくり返して配置を変えながら、粘土の表面も整えていきます。
原型と面している部分はスパチュラ等のヘラを使って丁寧に隙間を埋めて、周囲の高さと出来るだけ平行になるように揃えていきます。
ちまちまぬるぬる作業なので、これも結構しんどかったです。
しかも全部埋めてから、キャストを流し込む為の湯口を作って居ない事に気が付いて愕然としてみたり。
結局写真のものは一旦解体して、湯口を確保する為にパーツの配置を変更する事になりました。○<\_
 

そんな訳で、湯口となる割り箸を配置してから、パーツの配置を変更してシリコンを流せる状態にしました。
型取り用ブロックはサイズが調整できるので、結構使い勝手が良いです。

ボコボコと穴が開いているのは、型同士を合わせた時のズレによる歪みを押さえる為の保険なのですが、ちょっと深く穴を開けすぎました(笑)

シリコンに硬化剤を入れ、よく撹拌してから流し込みます。
最初は皺などの細かいディテールに気泡が入らないように筆を使ってペタペタと塗りつけ、表面がシリコンで覆われて見えなくなったら、細い糸状にツツーっと容器を傾けて、型を全部満たしてから、きちんと硬化するまで放置します。
 

シリコン投入より約12時間後、恐る恐る型を引っくり返して反対側から粘土をそっと取り除いていきます。
その際気を付けなければならない事は、この時うっかりシリコン側にくっついている型が外れない用にしなければならないという点。
外れてしまうと、反対側にシリコンを流した時に、折角作った片面の型との隙間にシリコンが流れてディテールが崩れてしまうからです。
故に慎重に慎重に、粘土を取り除いていきます。

原型にはりついた細かい粘土の残骸は、爪楊枝やヘラで丁寧につまみ取ってきます。
脂分がこびり付いたままだと表面処理の成果が半減してしまい、結果ボコボコと窪みのある複製品が出来上がってしまうので、取り除く作業はかなり緊張します。
あのマゾ作業が無駄になるなんて…!(血の叫び)
 

緊張の中、粘土を全て取り除きました。
割り箸の部分は、キャスト材を注入する際の湯口になるので、ジョウロ状に穴を開けておく為に、改めて粘土を配置しました。
今度は反対の面を作る為にシリコンを流す訳ですが、シリコン同士はくっ付き合う性質がある為、きちんと剥がれる様に、表面だけでなくブロックの側面も合わせてシリコン部分にはバリアーコート(ワックス材)を塗りつけておきます。

本当は粘土にもコーティングはするべきなんですが、ほいく粘土は油分も多く必ずしもしなければならない素材では無いようなので、型によっては省略してました。
塗っても塗らなくてもシリコンに面した部分は油が抜けてカサついちゃうので、削り取って処分する工程は変わらなかったので。
 

どうやって型を取ったらいいのか全く分からなかったスカート部分…結局、分割しない状態で一度型を取ってみる事にしました。


後ろ側は一面で取るのには問題が無いようだったので、とりあえず後ろから取り掛かります。
凹凸が少ないので、粘土埋めは比較的楽でしたが形状故に、安くも無いシリコンを大量に消費してしまった…(ちょっと遠い目に)

 

その後、粘土を取り除いた状態がこれです。
これでもしっかりシリコンに型がはりついてるんだぜマーヴェラス!(感動)
しかしこの後、どうしたものだか…。


素人目に見ても切り替えし部分が多いので、ここにただシリコンを流し込むだけだと、あちこちに引っかかって型から外す事は出来ません。
型としばらく睨めっこの状態が続きます。

 

 

結局、どうやっても二面取りは無理だろうと判断。
それでも原型を分割するのは面倒もとい極力避けたかったので、初心者なのに上級テクニックの「三面取り」にチャレンジする事にしました。
構成はパーツの前後で二面分の型を作ってから、スカートの内側の空洞を三面目として確保するという感じです。
なのでシリコンも三回流さなければならない訳ですが、その場合はスカートの脇を出来るだけ一面目として埋めなければならないので、バリアコートを塗らなければシリコン同士がくっつく、という性質を逆に使用して、追加のシリコンを流しました。

俺って意外と頭いい!冴えてる!
とか自画自賛をしたのがいけなかったのか、この後深刻なトラブルが発生。

何て事は無い、私が硬化剤をシリコンに投入した際の撹拌が甘かったようで、二日経ってもシリコンは固まらなかったのです。
こうなってしまえばもう、型から撹拌不良のシリコンを全て掻き出して、きちんとしたシリコンを再度流し込まなければならない訳で、ちょっと涙を溜めながらドロドロのシリコンを型から取り除き、原型にくっついたシリコン液をウエットティッシュで拭き取ったりと、えらい手間がかかりました…。
再投入時はよーっくよーっく練りこんでから投入しましたが、張り切りすぎて空気がいっぱい入って心配になりました。(意外と大丈夫でしたが)
 

数日を無駄に過ごしたショックの中、最後の型を製作していたら、ナチュラルに湯口を作るの忘れてシリコン流していた事に、硬化待ち中にこの写真を見て気が付きました。
写真取ってる位ならちゃんとその段階で気が付けって話ですよね。あはは。
仕方無いので、反対面を作る時に追加する事にします。

必要なパーツは2本目の剣とベルト、剣柄だけだったんですが、スペースがあったので細かいパーツも保険代わりにもう一度配置してみました。

 

ようやく両面の型を作成出来ました。が。
うっかり顔パーツだけ、粘土を剥がす際に型から抜けてしまった為(ギャー!)耳の部分が少し二面目で流したシリコンに干渉されて波うってます…orz

一番シリコンを消費した型だったので、もう一度作り直すか悩んだのですが、テストショットも試していないので、このまま複製作業をしてみる事にします。
つーかシリコンってまじ高いので、失敗するとえらいヘコみます。
 

原型をシリコンから取り除いた後は、それぞれのパーツに空気抜けの溝を作っていきます。
上からキャスト材を注入すれば、当然空気の出口が塞がれて中に気泡が溜まります。
すると型にブツブツと気泡が入った状態になってしまったり、全く型にキャストが流れないという事態になるので、上に上にと、空気が溜まりそうなパーツの頂点や気泡がくっつきやすい繊細な箇所に、空気の抜け道をデザインナイフ等を使って作っていきます。

実際には何度もキャストを流し込んでみて、気泡がきちんと逃げれる道を確保出来ているかという実地試験になりますので、最終的に型が完成するのは、キャストを何度も流してテストショットをしてからになります。
それでもどうにもならない時は、型自体に問題があるという事になるので、型作りの最初から作り直しになってしまいます。また 粘 土 から(´Д`)
 

一番の難関だったスカート部分の型も出来ました。
写真では4型に分解されてますが、真ん中のちっさいのは一面の型とくっつきます。
撹拌不良時の影響で、上手く追加シリコンと融合しなかった箇所ですが、型を抜く時の緩衝になりそうな部分なので、このままテストショットを行ってみます。

中央手前の型が、スカート中部の空洞になる部分の三面目です。
これを左上の一面目の型にカポっとはめこんで、右の二面目の型で蓋をするようにサンドイッチ状態にする予定です。
 

一部これまた不良シリコンの影響で、ちぎれてしまった部位があるのですが、そういう場所をメインに湯口を作ってフォローしていきたいと思います。残った時間的にも、今の自分の技術的にもこれが限界かなと判断し、とりあえずキャストを流してみようかと。


写真は上の写真の小さいシリコンを一面目の型にくっつけた状態のものです。